< 可愛くて仕方ないんだ >

 子供好きが子供を愛でるように、愛犬家が犬を愛でるように、愛猫家が猫を愛でるように。心境はそれと同じだ。違うのは思いの種類だろうか。

 くしゃくしゃ、とくせのない黒髪をかき回す。さらさらしているので手触りがいいなと思いながら、その行為を続けているとリアラから睨まれた。

「何するのよ」

 リアラはむう、と頬を膨らませている。結構な身長の差から上目遣いであることも手伝ってか、なかなか可愛らしいしぐさだ。思わず口元が緩んでしまう。それに伴い、リアラの顔がますますしかめられていった。

「……こども扱い、しないで」

 ぽつりと呟いてリアラがそっぽを向く。怒らせてしまったなと思うが、しかしすぐに謝罪の言葉が出てこなかった。代わりに、髪に絡めていた手を離す。その手で自分の頭をがしがしと掻きながら、ロニは気まずそうに言葉をこぼした。
 子供好きが子供を愛でるように、愛犬家が犬を愛でるように、愛猫家が猫を愛でるように。心境はそれと同じ、違うのは思いの種類。
 リアラに対してつい手が伸びるのは、もちろん子供扱いしてるわけじゃなくただ触れたいからだ。そして触れたいと思うのは、リアラが、

「仕方ねえだろ、」