< 迷宮の最果てにて >

 水の迷宮で、奴はのんきに弦を弾いていた。なんでまたこんなところにいるのだろうと、疑問に思わなくもないが声には出さない。もとより声をかけるつもりはなかった。ただその場には、代弁者がいたわけで。

「どうしてこんな場所にいるんですか?」

 カイルの純粋な問いかけに対して、金髪の吟遊詩人は軽快に答える。

「おみやげ話は波瀾万丈なほうが、愛しの司祭様も喜んでくれるかと思ってね」

 ……この男、まだフィリアを狙ってるらしい。