< 予感は的中するか否か >
「ジューダスはフィリアさんが好きなの?」
「……それを聞いてどうする」
突然の質問に驚きながら、それでも表情を崩すことなくジューダスは問い返す。対するカイルは少しだけ首を傾けて、どうもしないけど、と先を続けた。
「ただ、気になっただけ」
ぽつりとこぼされた言葉、その一言が妙に気にかかる。再び問いを重ねようとしたが、それはできなかった。名を呼ばれたカイルは「呼ばれてるから行ってくる」と、その場を後にしたのだ。
ジューダスには、どうにも逃げられた感がしてならない。
(なんなんだ、あいつは。いったい何を言おうと)
もう一度だけカイルが告げた言葉を反芻する。
『気になっただけ』
なぜ、カイルはそれを気にしたのか。
「……まさか、な」
眉をひそませて、それからジューダスはしばらくの間、居心地の悪さを感じ続けることになった。
嫌な予感ほど当たるのが世の常ってやつです