< 言い争いとその後 >

『坊ちゃんのわからずや! ひねくれ者! このプリン好きーーー!』
「なッ……シャル、お前……!」
『もう坊ちゃんなんて知りません! 絶縁です! 縁なんて切ってやります!』
「だったら勝手にしろ! 縁などこっちから切ってやる!」
『ええ勝手にしますとも! 今後ぼくはフィリアとパートナー組みますから!!』
「何馬鹿なことを言っている! そんなこと僕は絶対に認めないからな!!」

「……と言い争う声が、隣の部屋から聞こえてきました」
『うむ。筒抜けじゃったの』
「……」
『……』

 フィリアとクレメンテを前に、一人と一本の剣は無言だった。代わりに彼らは大量の冷や汗をかいている(ように見える)。

「何があったのかはわかりませんが……。お二人が喧嘩をなさるなんて、悲しいですわ。お願いですから、縁を切るなんておっしゃらないでください」
『(突っ込むところはそこなのか、フィリアよ。相変わらず、ずれておるというか……ううむ)』

 悩むクレメンテをよそに、フィリアは真摯な目をリオンとシャルティエに向けた。対する二人(一人と一本)はしばしの沈黙の後で声を出す。

「……わかった」
『……フィリアがそこまで言うなら』

 仲直りする、と彼らは口を揃えた。

フィリアの言うことなら聞くリオンとシャルティエ