< さあ宴を始めようか >

「お前にはお前の譲れない思いがあるっていうなら、それでいい」

 ぴんと張った声は強く、そして冷たくその場を打った。スタンの声に反応するように、リオンはちらりと笑う。

「俺は俺の譲れない思いの元で、お前と刃を交えるだけだ」

 剣を構えるスタンに応えるように、リオンも剣を構えた。先ほど湛えた笑みは、まっすぐスタンに向かっている。それを受けて、スタンもまたそっと笑った。

「こんな形でお前との勝負になるなんて思わなかった。……でもなんでだろう、俺は今の状況、願ったりだ」
「ふん、貴様と意見が合うなんてぞっとしないがな。いいかスタン、間違っても手を抜こうなんて思うなよ。そんな真似をしてみろ、貴様から奪い取ってやる」

 リオンは「何を」とは口にしない。しかしスタンにはそれが通じた。笑みを深めて、上等だと、青い目をきらめかせる。

「では、始めようかスタン。すべての決着と悲劇の幕開けのために」

 剣戟が、響き渡った。