< 老翁、少年、青年、少女。……なんでこんなに多いんだか >

 ルーティはいつも、入浴や就寝をフィリアと共にしている。同性だからいいじゃない、というのがルーティの言い分で、まったくもってその通りなので反論するすべはない。

 ジョニーさんやウッドロウさんは年上グループということで、自然とパーティの支え役、あるいはおもり……付き添い役(この表現も違うような気がする)とか、とりあえず大人な立ち回りが上手だ。俺もよく世話になったりするので、フィリアに対する振る舞いには何も言えない。そもそも彼らはフィリアが嫌がることはしないので、安全と言えば安全である。

 油断がならないのはリオンだ。あいつは他人に対して厳しすぎる嫌いがあるが、なぜかフィリアにだけはそんなに冷たくない。態度はでかいが、明らかにそこには情が感じられる。少なくともフィリアには何かを許しているのだろう。微笑ましい気がしなくもないが、こちらとしてはやはり腹は立つ。リオンに対してだけは対策を練ったほうがいいだろう。

 中でも厄介なのがフィリアの持つ大剣だった。パートナーということもあって、クレメンテはいつもフィリアと一緒にいる。戦闘時も食事時も就寝時も常に傍らにあるのだ。さすがに入浴時はいられないが、それでもルーティよりは同じ時間を過ごしている気がする。クレメンテが選び、フィリアが受け入れたということもあって、彼女と老翁を完全に引き離す方法はあまりない。ソーディアンを交換できても、本当の意味ではきっと離せないだろう。それがなんとも悔しいのだ。

「フィリアもあれがみんなの『優しさ』ってことで受け取ってるからなあ。一番厄介なのって、もしかしてフィリアとか?」

 はああ、と大きくため息をつくとディムロスがぼそりと呟いた。

『……どうでもいいが、コングマンは眼中にないのか?』