< ずっといっしょに、 >

 どうしても叶わない願いを望んでしまった時、人はどれだけ絶望するのか。
 たった一度きりの人生、なるたけならそんなもの味わいたくなかった。味わうつもりもなかった。けれどこの世界に呼び出されて、出逢いを経て、そして、味わわされる。

「リッドさん」

 くちびるを開こうとする俺にフィリアが呼びかける。静かな声に行動が制される、何も言えない。

「その先は、おっしゃらないでください」
「……なんで」

 絞り出すように一言を返すと、フィリアは柔らかく微笑んだ。

「わかって、おいででしょう?」

 言えば後悔しますわ。
 言わなくたって後悔するさ。

 そんな問答を繰り返して、それでも最後に何も言えなかったのは俺のほうだった。

『なあフィリア。俺と、ずっと一緒に……』

 その先のたった一言。音にすることができたらよかったのに。