< Bless you -Side A- >
下船したアスベルは、まだ何か言いたそうな表情をしているソフィに「神官と騎士の間にはいろいろあるんだ」と、それらしい言葉を並べた。うまくごまかされてくれたのだろうか、そっか、とソフィは頷いている。
騙すような形になってしまったが、これから成長していけばソフィにも理解が及ぶことだろう。それが祝福とはいえ、男と女が軽々しく接触するものではない。特に今のアスベルにとっては躊躇してしまうことだ。
なぜならそこには、よこしまな思いが存在しているのだから。
アスベルはフィリアから渡された指輪を、彼女がそうしていたように中指にはめていた。
ちらっと、ソフィがこちらを見ていないのを確かめてから手を近づける。
(フィリアの、祝福を)
そうして、フィリアが口づけたのと同じ場所へくちびるを落とした。
熱を感じられなかったのが、少し寂しい。
アスベル→フィリアという願望