< 不機嫌な理由 >
最近、目障りな奴がいる。
「よっ、フィリア」
「あらリッドさん、ようこそお越しくださいました」
いつの日からか、ドープルーンに来るようになったこいつだ。
「よう、リオン。今日も機嫌悪そうだな」
こいつは僕の機嫌が悪い理由を知った上で、そう声をかけてくる。それもまた気にくわない。何より最も気にくわないのは、この男がフィリアに気を持っているということだ。
(最初は食べ物が目当てだったくせに)
そう、食べ物だけが目的だったはずなのだ、こいつは。けれどフィリアと接するうちに、フィリア自身にも興味が湧いたようだ。傍目にもそういう気配が見て取れる(しかしなぜかフィリアは気づいていない)。
「お前さえ来なければ、機嫌はよくなるんだがな」
フィリアには聞こえないよう、そいつだけに本音を言う。対する相手は、不敵に笑った。
(……腹の立つ)
腹いせにスタンを斬りに行こうかと考えた。そうだ、すべてはスタンが、リッドにフィリアを紹介したことから始まるのだ。一番の原因に処置なしなどと、収まるものも収まらない。
被害者スタン(笑)
坊ちゃんがちょっと余裕なくてリッドが余裕たっぷり